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後に憂いを残さないために、内容証明郵便で「時効援用の意思表示」を行いました。

過去の治療費|74歳・男性の場合

シニア男性

相談に来られたHさんは最近「終活」を始めたとおっしゃられていました。

「終活」とは人生の終わりを綺麗に迎えるための身辺整理などのこと。
その終活の中でHさんは未払いの治療費があることを思い出したそうです。

Hさんは7年前に外出先で転倒し骨折。
病院に運ばれて手術を受け、1か月半の間入院しました。

退院後リハビリが必要な状態になったため、これを機に近くに住む娘夫婦との同居を始めることに決めました。

退院に引越し、リハビリと慌ただしい中で、Hさんは病院の入院費と治療費合わせて約80万円の支払いを忘れてしまっていたとのことです。
終活の過程で古い請求書を見つけたHさんは、この7年前の治療費をどうするべきか相談に来られました。

自分が亡くなった後に請求がきて相続人に迷惑をかけるのは避けたい。
今のうちに支払った方がよいのか。
それとも時効になるのを待ったほうがよいのか。
というのが、ご相談の内容でした。

入院費と治療費の消滅時効が何年かがポイントです。

まず入院費と治療費を分けて考える必要はありません。
どちらも同じ年数で時効にかかります。

Hさんは10年で時効だと考えておられたのですが、治療費の消滅時効はもっと早く訪れます。
治療費の時効は民間病院で3年国立病院で5年です。

Hさんが手術入院した病院は国立病院でした。
ということは5年で時効にかかります。

Hさんの場合、退院から7年が経過していますので、既に時効が成立しています。

Hさんは住民票を移さないまま引越ししていたので、病院側はHさんの居所を知らない可能性が高いです。
入院の際に保証人になった娘さんにも請求書が送られて来ていないということなので、病院側も治療費の回収を諦めているのかもしれません。

しかしながら時効援用には意思表示が必要です。
Hさんの場合、後に憂いを残さないためにも内容証明郵便で「時効援用の意思表示」を行うことにしました。

時効援用の意思表示を行う内容証明郵便は同じものを3通作ります

1通は病院に届けられます。
1通は郵便局に保管されます。
最後の1通は控えとして手元に残ります。

内容証明が病院に届くと、郵便局から「配達証明書」が送られてきます。
治療費の消滅時効援用に反論がある場合には、病院から何らかのアクションがあるはずです。

今回の場合、病院からの連絡はありませんでした。
これは病院側が時効援用を消極的に認めてくれたことを意味します。

これでHさんもその相続人も、7年前の治療費を支払う必要は無くなりました。

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