消滅時効制度を援用できるものには色々な種類があります。
金融業者からの「借金」だけではなく、請求されているものの、まだ支払っていないお金「未払金」にも適用されます。
「未払金」にもさまざまな種類がありますが、ここでは「医療費」についてみてみましょう。
思いがけない病気などで、高額な医療費を請求されてしまうことがありますよね。
例えば、手術や入院をしてしまうと、普段の生活からは考えられないくらいの金額を払う必要があります。
身体を壊しただけでなく、多額の支払い義務まで生まれてしまうと辛いですよね。
中には、なかなか支払えないまま何年も経ってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、そのような方にはまだチャンスがあります。
ちなみに、どのようなものが時効の対象になるかというと、治療費だけではなく、薬代なども含まれます。
実は、医療費の未払金にも時効があるのです。
では、一体何年で時効を迎えるのでしょう?
一般的に、時効は5~10年と言われていますが、医療費の場合はどうでしょうか?
2パターンの時効があるので注意が必要です。
まず確認したいポイントは、あなたがかかった病院が「民間病院」なのか、それとも「国公立病院」なのかということです。
民間病院の場合、時効は「3年」という極めて短い期間で完成します。
実際に消滅時効が完成してしまうケースが多くあるようです。
国立病院の場合、時効は「5年」になります。
これは、地方自治法で定められているもので、「公債権」とみなされるためです。
また、保険診療でかかった場合、自由診療でかかった場合、いずれのケースでも時効は5年のままです。
国立病院の方が時効までの期間が長いので注意が必要です。
最後に、時効制度を利用するには、
時効までの期間(ここでは3年または5年)が過ぎていること
時効が途中で中断していないこと(途中で一部を支払ってしまうなど)
時効完成後に「時効制度を利用します」と意思表示をすること
の3つの条件があります。
この全てを満たしていなければ、医療費を「なかったこと」にはできません。
また、時効制度を利用するのは信用問題にもなります。
ですから、安易に利用しようと考えるのではなく、どうしても困ったときの「最終手段」として考えるようにしましょう。