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借金を帳消しにできる時効援用ですが、成立させるには3つの条件を満たす必要があります。

消滅時効成立の要件とは?

考える男女

さて、「借金を帳消しにする方法」としてご紹介した消滅時効について、詳しくみていきましょう。
ここでご紹介するのは、「どうしたら消滅時効が成立するのか?」という3つの要件についてです。

まずは、3つの要件についておさらいしてみましょう。

一定期間の経過

時効の中断事由がない

時効援用の意思表示

特にわかりにくい「時効の中断事由」を中心にみていきましょう。

一定期間の経過

消滅時効を成立させるためには、借金をしてから一定期間が経過することが必要になります。
一般的には、「5~10年」がその目安だと言われています。

また、借金をした日だけではなく、支払った日にも注意が必要です。
借金をした日から5~10年経過していたとしても、その間に支払いをしている場合、時効が中断してしまうからです。

時効の中断事由がない

時効の中断ってどんなこと?

さて、「一定期間の経過」でも少し出てきましたが、
「時効が中断してしまう」とはどのようなことなのでしょうか?

時効が成立するまでには、一定期間が必要になります。
ただし、ただ時間が過ぎれば良いというものではありません。

分かりやすく考えるには、キッチンタイマーをイメージしてみましょう。

現在の時間は14時だとします。
10分後(14時10分)に予定があるので、「10分」とキッチンタイマーを設定します。
すると、9分59秒、9分58秒…とカウントダウンが始まりますよね。

実は、時効が成立するまでにも、このような「カウントダウン」があると考えることができるのです。

しかし、なにかが起こって手が離せなくなってしまい、キッチンタイマーを止めてしまったらどうでしょうか?

そうですね…5分ほど止めて中断してしまったとしましょう。

しばらくして、またキッチンタイマーを再度続きからセットし直します。
ふたたびカウントダウンが始まりますが、途中で一旦止めてしまっているので、キッチンタイマーの「10分後」と現実の「10分後」にはズレが生じているはずです。
最終的にキッチンタイマーが鳴ったのは、予定していた14時10分ではなく、14時15分でした。

借金の時効にも、同じことが言えます。

借金をしたり、最後に支払った日がどんなに前であっても、その間に何らかのアクションを取ってしまうと、「時効を迎えるまでのカウントダウン」が一旦ストップしてしまうのです。

では、どのようなアクションを取ると、時効が中断してしまうのでしょうか?

時効が中断する2つのパターン

そもそも、時効が中断する「アクション」とはどのようなことなのでしょうか?
まずは、2つのパターンに分かれます。

1つは、金融業者があなたに対して取るアクション

もう1つは、あなたが取るアクション

金融業者があなたに取る3つのアクション

裁判上の請求

「返済しろ」と裁判になってしまった場合です。
「返済するべき」という判決が出てしまうと、一般的に5年である時効期間が10年になってしまうので注意が必要です。

なお、あなたが知らなくてもいつの間にか判決が出ている場合があるので注意が必要です。
ただし、訴えを取り下げられていれば、時効までのカウントダウンはストップしません。

催告

金融業者があなたに対して「返済しろ」と迫ってきた場合もこれに含まれます。
ただし、電話で連絡があっただけでは証拠にならないので、「内容証明郵便」などの形で行われます。

また、さきほどの裁判とは異なり、「返済しろ」と伝えただけではカウントダウンはストップしません。
伝えてから半年以内に訴えるなどの手続きがあった場合のみ対象となります。

差し押さえ

財産を差し押さえ(あるいは仮押さえ・仮処分)された場合も、時効までのカウントダウンがストップしてしまいます。
たとえば、競売などがその例として挙げられます。

あなたがしてしまいがちなアクション

あなたが取る行動でカウントダウンがストップしてしまう例として、「債務の承認」があります。

どういうことかというと「借金がある」のを認めてしまうことを指します。
「私には借金がある」なんて言わない、とお思いかもしれませんが、注意が必要なのは「返済=債務承認」であるということです。

1度でも、少額でも借金を返してしまうと、時効までのカウントダウンがストップしてしまうのです。

時効援用の意思表示

最後に、時効援用の意思表示が必要となります。
これは、「私は時効制度を利用します」というあなたの意思を、金融業者に対してはっきりと伝えることを指します。

具体的な方法としては、先ほども少しでてきましたが「内容証明郵便」という方法が一般的です。
内容証明郵便というのは、郵便局が「この内容を配達した」と証明してくれるものなのです。

ですから、「言った・言わない」というトラブルを防ぐことが可能になります。

いかがでしたでしょうか? 借金を帳消しにすることのできる「時効」制度ですが、これを利用するためには3つのルールがあります。
この点に気をつけながら制度を利用していきましょう。

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