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時効を援用する際には、本当にこれで良いのかと一度考える必要があります。

慰謝料|36歳・男性の場合

離婚の際の慰謝料の消滅時効

Oさんは8年前に離婚した際、慰謝料として100万円を支払う約束を交わしました。
離婚成立時に30万円を支払い、残り70万円については毎月2万円ずつ分割で支払う約束でした。

しかし、別れた奥様から催促がないのをいいことに、Oさんは1度も慰謝料を支払わないまま現在に至っていました。

ところが最近になって別れた奥様から残りの慰謝料について請求がきたとのことでした。

慰謝料の消滅時効は一般的には5年です。

離婚協議書を作成している場合には、消滅時効は10年になります。
Oさんは話し合いによって円満に離婚し「離婚協議書」は作成していませんでしたので、Oさんの慰謝料は5年の消滅時効にかかっています。

現在Oさんは結婚を控えていて、出来ることなら慰謝料は払いたくないとのことでした。
Oさんには内容証明郵便を使って時効援用できる旨を説明させて頂きました。

しかしながら、内容証明を受け取った奥様が「時効による慰謝料の消滅」をすぐに理解してくれないかもしれない旨もあわせて説明しました。

また内容証明には代理人として当事務所の連絡先を記載しますが、驚いて本人に連絡する方も少なからずいらっしゃいます。

個人相手に時効援用をする場合ブラックリストに載るデメリットはありませんが、時効の援用を納得してもらうまで多少の時間を費やすことになります。

内容証明を受け取った元奥様から直接Oさんに連絡がありました。
ここで当事務所に連絡するように言って電話を切っても構わないのですが、Oさんは元奥様と話しをされました。

やはり元奥様は慰謝料の時効が成立していることを知らず、現在お金に困っていてOさんに連絡を取ったということでした。
元奥様の現状を知ったOさんは、葛藤しました。

未払いの慰謝料70万円は本来支払うべきお金であったのに、安易に自己の利益を優先して時効援用をしたことを後悔したのです。
考えた末、Oさんはやはり奥様に慰謝料を支払いたいとおっしゃられました。

しかしここで、時効援用を撤回できるのかという問題が生じます。

専門的な話になりますが、1度行った時効援用は撤回できないという考え方が主流です。
相談の結果、Oさんは元奥様に70万円を貸すことにしました。
返済期も定めましたが、支払いがなくても請求するつもりはないと言います。

つまり時効にかかるのを承知の上で慰謝料と同額を元奥様に貸すことにしたと言うわけです。
一度時効を援用したために周りくどい方法をとることになってしまいましたが、Oさんも元奥様も納得できる解決方法になりました。

時効は便利な制度です。
しかし時効を援用する際には、本当にこれでよいのか良心は痛まないか一度考える必要があります。

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