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訴訟を仄めかす内容証明を受け取っても、時効中断にあたる言動をしてはいけません。

家賃の未払|40歳・男性の場合

家賃未払い

Aさんは内容証明郵便を持って相談に訪れました。
持参した内容証明の中身は「未払いの家賃を○月○日までに支払え。支払わない場合は法的措置をとる」というものでした。

内容証明が届いたのは1週間前。
支払いの期限は間もなくでした。

Aさんから事情を聞くと、6年前まで住んでいた借家の家賃が未払いになっていたが、借家が雨漏りしその修繕を巡って家主と揉めた経緯があり、最後の家賃3ヶ月分を支払わないまま転居したとのことでした。

家賃の消滅時効は5年です。
Aさんの場合、6年前の家賃ですので時効が完成しています。

しかしながら、この内容証明に反応して一部返済などを行うと「債務の承認」という時効中断事由にあたり、完成していた時効の援用が出来なくなってしまいます。
Aさんは内容証明を受け取ったのみで、返済はもちろん家主への連絡もしていないとのことでしたので、時効援用は問題なく行えます

なお「債務の請求」も時効中断事由ですが、裁判外での請求の場合は6ヶ月以内に裁判上の請求をしなければ時効中断の効果は生じません。

Aさんは内容証明の文章どおり法的手段(裁判手続き等)を取られることを懸念して相談に来られました。
もし時効が完成している債権ついて裁判上で支払い請求をされた場合には「時効を援用する」と裁判上で主張すれば大丈夫です。
その場で時効援用の効果は表れ、相手はもう借金返済を迫ることはできなくなります。

実際には時効が完成している債権について裁判手続きを取るのは考えにくいことです。

このように訴訟を仄めかす内容証明は、送けとった借り主が焦って支払い猶予や分割返済の申し入れをするのを狙っての行動だと思われます。

支払い猶予や分割返済の申し入れをすると「債務の承認」という時効中断事由にあたります。
せっかく時効が完成していても、時効中断にあたる言動を行うともう時効援用はできなくなります
時効中断でカウントは0に戻り、また1から時効完成までの期間を数え直さなくてはいけなくなるからです。

家主は時効が完成していることに気づきながらも、Aさんが「債務の承認」にあたる行動をとることに期待して内容証明郵便を送っってきた可能性が高いのです。
Aさんは貸主に連絡をとる前に相談に来てくださったのが幸いしました。

内容証明郵便で時効を援用する旨の通知を行いました。
内容証明が到達した後も家主からの反論はなく無事家賃の支払いを免れることができました

時効が中断していた事例はこちら

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