スマホ用タイトル

「変更合意書」を交わすと、借金の存在を認めたことになり時効が中断します。

時効中断が生じていた事例|52歳・男性の場合

Kさんは古い契約書をもって相談に訪れました。

貸金業者と長年取引があるというKさん。
借りては返すを繰り返し、借金の額がゼロになったことはないと言います。
最後に返済をしてから8年が経過しているので、時効を援用することができるのではないかと思られての来所でした。

Kさんの話を整理すると、最初の借り入れは20年前。
最後の借入れは10年前。
最後の返済は8年前でした。

貸金業者からの借入れの場合、消滅時効は5年です。
これだけ見ると、Kさんの借金は最後の返済から5年以上が経過しているので時効になっているように思えます。

契約書を見る男性

しかしKさんの持ってきた書類の中に、4年前の日付の「変更合意書」がありました。
「借金の利息を一部免除して、月々の返済額を減額する」というKさんに有利な内容です。
しかし今回の重要なのは、その内容ではなく4年前という日付です。

借金の存在を認めると時効は中断します。
借金の返済をしなくても「減額の合意」「返済方法の変更」などを行うと、借金の存在を認めたことになり時効が中断します。
Kさんの交わした合意書は、まさにこの借金の存在を認めた証拠です。

Kさんの借金が時効を迎える為には、その合意書からまた5年が経過しなければならず、残念ながらまだ借金は時効にかかっていないことがわかりました。

時効まであと1年待つという方法もありますが、貸金業者も時効を完成させない為に手を打ってくる可能性があります。
4年前に利息の減額を持ち掛けられてハンコをついた合意書はまさしく時効中断の為の措置と言えるでしょう。

また合意書を持ち掛けられるかもしれませんし、差し押さえなどの法的措置を取られる恐れもあります。

Kさんの場合は、長年貸し借りを繰返している点に注目して、過払い金が生じている可能性が高いことを説明させて頂きました。

利息制限法という法律で定める利息の上限を超えた高金利で契約をしている場合、払いすぎた利息を返還請求することができます。
この払いすぎた利息が「過払い金」です。

高い金利で長年貸し借りを繰り返していると、すでに過払い金で借金全額の返済を終えているケースがあります。
元本を超えた返済があることが分かれば借金は0になりますし、払いすぎた利息の返還請求をすることもできます。

Kさんの場合、当初は時効の相談でしたが過払い金請求に切り替えて調査をすることになりました。

時効援用専門事務所BEST3