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時効を援用すると、情報を共有する他のキャリアでも契約を断られる可能性があります。

未払いの携帯代|26歳・女性の場合

携帯電話

相談に来られたMさんには、学生の頃に携帯代が支払えなくなり強制解約された過去がありました。
催促の通知は来ていたものの払えないまま引っ越しし、引っ越し後は通知がくることはなかったと言います。

しかし最近住民票を現住所に移したところ、再び請求書が送られてくるようになったとのことです。

Mさんは携帯代の時効は5年だと知った上で、時効援用の具体的な手続きについて相談に来られたのでした。

時効援用の手続きは難しいものではありません。
しかし、まずMさんには時効を援用するメリットデメリットについてお話させて頂きました。

時効とは「権利の上に眠る者は保護しない」という考えのもとに作られた制度です。
法律で定められた一定期間、その権利を使用しないでいると「時効が完成」します。
時効が完成した権利は「時効を援用します」と意思表示されると消えてしまい、もう権利を行使することができなくなるのです。

Mさんの場合でいうと、携帯代の時効完成に必要な期間は5年間です。
すでに時効が完成しているのでMさんが時効援用の意思表示を行えば、通信会社は電話代を請求する権利を失います。

Mさんは合法的に携帯代の支払いを免れることができます。
払わなくて済むのなら時効制度を活用したいところですが、時効援用にはデメリットもあります。

Mさんの時効にかかっている携帯代は大手キャリアAのものでした。
現在Mさんは他社で契約したスマートフォンを所持しておられたので、時効援用後すぐに影響がでることはないでしょう。

しかしながら、携帯代について時効を援用するとMさんの信用情報に傷がつきます
相手方である大手キャリアAで契約できなくだけでなく、それ以外のキャリアにも情報が共有されて契約を断られてしまう可能性があるのです。

数年ごとにキャリアの乗り換えを考えていたMさんにとってこのデメリットは大きなものでした。

相談の結果、携帯代が払えない金額ではないことからMさんは時効を援用せず携帯代を支払うことに決めました。

消滅時効は債務の支払いを合法的に免れることができる大変便利な制度です。
しかしながら「支払いを遅延した上に時効を援用してお金を支払わなかった」という事実が共有され、新たな契約を結んでくれる相手がいなくなる可能性があるのです。

Mさんの場合は「時効にかかった債務があっても安易に時効援用をしない」というひとつの例になりました。

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